インプラントとは?
何らかの理由で歯が失われたとき、一昔前は入れ歯とブリッジという方法が用いられてきました。しかし現在では第三の方法として【インプラント】が一般的となっています。
インプラントは歯が失われた部分の顎の骨に土台を埋め、その上に人工歯根を装着させるという方法です。
周囲の歯に影響を与えることなく、天然歯と同じような自然な見た目を実現できることから人気を集めています。
最近よく耳にするようになったので新しい治療法だと思い、「安全性は大丈夫なのだろうか?」と不安を抱く人もいるようですが、実はインプラントは30年以上も前から世界中で提供されています。
現在では技術が改良され、新しい器具も出てきているのでその安全性や有効性はより高まっており、自信を持って患者様におすすめできる方法となっています。
インプラントのメリットとデメリット
次にインプラントのメリット・デメリットを紹介します。
インプラントのメリット
- よく噛めるようになる
- 自然な仕上がりになる
- 使用していて違和感が少ない
- 固定式のため、メンテナンスが容易
- 治療の際に周囲の歯に影響を与えない
- メンテナンス次第では長持ちさせることができる
インプラントのデメリット
- 自由診療(保険証の範囲外の治療)のため、治療費が高額になる
- 治療期間が長い(平均して数ヶ月かかる)
- 顎の骨の状態によっては治療を受けられないことがある
- 継続的なメンテナンスが必要
インプラントを受けられない人
インプラントは外科的手術を伴うため、全ての人が受けられるというわけではありません。糖尿病や高血圧などの持病がある人は治療をお受けできない場合があります。くわしくは当院までご相談ください。
インプラントの手順は?
インプラントの手術は「一回法」と「二回法」に分けられ、名前が示す通りそれぞれ手術を必要とする回数が一回と二回という違いがあります。具体的な方法は以下となります。
<一回法>
- 1. 麻酔を施してから歯茎を切開し、骨に穴を開ける
- 2. 骨に開けた穴に土台が一体になったインプラント体を埋め込み、土台が見えた状態で歯茎を閉じる
- 3. 骨がインプラントと結合したら型を取り、人工歯根を装着させる
<二回法>
一次手術
- 1. 麻酔を施してから歯茎を切開し、骨に穴を開ける
- 2. 骨にインプラント体を埋め込み、インプラント体を覆うように歯茎を縫合する
- 3. インプラント体と骨が結合するのを待つ(平均して数ヶ月かかる)
二次手術
- 歯茎を切開し、露出させたインプラントに土台を装着する
- 切開した歯茎が治ったら型を取り、人工歯根を装着させる
歯が失われた状態を放置するとどうなる?
インプラントは歯が失われたときの対処法ですが、失われた歯をそのままにするとどうなってしまうのでしょうか? 「そのまま隙間となるだけでは……?」と思う人が多いようですが、その状態を放置していると口内全体の健康を脅かす事態に陥ることがあります。
1.周囲の歯が移動する
歯が失われると、その隣にある歯が徐々に傾いてきます。また噛み合わせの相手だった歯も噛み合う相手を求めて伸びるようになります。
2.噛み合わせが乱れる
周囲の歯が傾いたり伸びたりすることで、全体の噛み合わせが乱れてきます
3.歯の状態が悪くなる
歯が抜けた状態では食べ物をうまく噛めなくなり、反対側でばかり噛むようになりがちです。その状態では特定の歯に過度に負荷がかかり、歯にダメージを与えたり(むし歯・歯周病)、顎を傷めたり(顎関節症)してしまいます。
4.審美性を損なう(見た目が悪くなる)
歯が一本失われた状態でも周囲に違和感を与えることがありますが、周囲の歯が移動したり、全体の噛み合わせが悪くなったりすることでその違和感はさらに強まることでしょう。
5.身体全体にダメージを与える
顎の筋肉は全身の筋肉もつながっているため、顎を傷めることで肩凝りや頭痛、腕や脚の筋肉痛を引き起こすことがあります。
6.義歯治療をしようと思った時にスムーズにいかない
歯を失った直後であれば隙間はそのままの状態なのでスムーズに義歯治療を行えます。しかし放置して歯が移動してしまうと義歯を入れるために矯正治療を行う、周囲の歯を抜く、などさらなる治療が必要となる場合があります。
インプラント以外の義歯治療~入れ歯とブリッジとの比較
インプラント以外の義歯治療としては入れ歯とブリッジが一般的であり、現在でも多くの患者様に提供されています。ここではそれぞれの特徴とそれらと比べたうえでのインプラントの特徴を説明します。
入れ歯の特徴
歯が失われたときの治療法として最もポピュラーなのは入れ歯でしょう。その最大の特徴は「取り外しができる」ということです。そしてこの「取り外し式」というのはメリットにもなり、デメリットにもなりえます。
<メリット>
取り外し式のため、手に持った状態でメンテナンスができます。隅々まで清掃ができるので清潔な状態で利用することができます。
<デメリット>
取り外し式のため、固定力は他の方法よりも高くありません。そのため「装着時の違和感」や「使用していて外れてしまう」に注意する必要があります。
歯がなくなった場所によってはクラスプと呼ばれるバネがかかりますが、金属製のため光沢が目立ってしまうことがあります。
思いきり噛むことができないため、食事の内容が制限される(柔らかいもの)ことがあります。
ブリッジの特徴
失われた歯の両隣の歯を削り、それをつなぐように被せる義歯がブリッジです。名前が示す通り、橋のように架ける方法で固定します。
<メリット>
固定式のため固定力が高く、使用時の違和感が少なくて済みます。
固定式のため取り外すという手間がかかりません。
<デメリット>
失われた歯の両隣の歯が健康でも削らなければなりません。削ることで歯の寿命は確実に縮まります。
両隣の歯は義歯を支えることになるため負荷がかかり、やはり寿命が縮まってしまいます。
固定式であることはメンテナンスが難しくなるということでもあります。充分な手入れをしないと汚れが隅に残ってしまいます。
インプラントの特徴
入れ歯とブリッジと比べた場合のインプラントの特徴は、やはり「使用感の良さ」と「見た目の自然さ」だということができます。固定力が高いため思いきり噛むことができ、食事に制限がかかりません。
またきちんと手入れをすれば天然歯と見間違うほどの美しさを保つことができます。
しかし上記でも説明したように、インプラント治療は基本的に自由診療となります。自由診療は保険証の範囲内(三割負担)で治療できる保険診療と比べて、全額自己負担となるため治療費がどうしても高くなってしまいます。
当院におけるインプラント
当医院では【ストローマン】、【アンキロス】、【DIO】というメーカーのインプラントを使用しています。どれも世界的に高い評判を誇っているものであり、安全性においても確かな実績を持つものとなります。
さらにガイデッドシステムを併用することで、スピィーディーでありながら安全にも充分配慮した手術を提供できるようになりました。
(オシリスCBCTによるダイコムデータ、3shapeトリオスによる口腔内デジタルスキャナーによるマッチングによるガイド作製を行います)
このようなことから当院では基本的に上記で示した2次手術を必要としません。また欠損の状態によっては切開・縫合も必要とせず、デジタルスキャンによる型採りをできる場合もあり、他院と比べて患者様の負担を最小限に抑えることができています。
インプラントに興味がある方だけではなく、他院で検討されている方も是非一度ご相談ください。
インプラント治療で気をつけること
インプラントは入れ歯やブリッジという従来の義歯治療の欠点やデメリットを克服した画期的な義歯治療だということができます。使用感や見た目が良く、メンテナンスもしやすく、さらにメンテナンス次第では長持ちするという点が世界中の患者様に喜ばれています。
しかし他の治療法と比べると歯茎を切開するという大掛かりな治療を必要することや、治療費が高額になるという点には注意が必要です。
また使用感が良く、まるで天然歯のように使えることから、ついメンテナンスを怠ってしまう人がいることも事実です。インプラントも万能ではなく、メンテナンスを怠ると抜け落ちるリスクがあることを忘れてはなりません。またブラッシングを忘れたり、過度の喫煙をしたりするなど生活習慣の乱れによって周囲の歯が歯周病になることもあります。
そのためメンテナンスの必要性を忘れることなく、大切な自分の歯だという意識を持ってお手入れをしてあげてください。
当医院では現在、ほとんどのケースで【スクリューリテイン】という方法で人工歯を装着しています。脱着が可能な方法なので定期的に取り外し、清掃やネジの緩みを確認していますが、これによってインプラント周囲炎の発症を予防することができます。このようにインプラントを装着したらそれで終了ということではなく、患者様に長く使用していただけるようにというトータルの治療を提供することを心がけています。
また、年月の経過によってご自身の他の天然歯が抜けていき、インプラントだけが残ることがありますが、その状態が口内にダメージを与えることがあります。
その場合はインプラント本体を取り外すのではなく、上部構造体をまず取り除くことをおすすめしています。
当院はインプラントについて確かな技術と知識を持つ医師が治療を提供しています。
インプラントでお悩みの方は是非一度問い合わせください。